医薬品GDP 温度を科学的に証明する:マッピングと適格性評価
2026/10/15(2026/10/06)
医薬品GDP
前回は医薬品GDPにおける「温度管理とコールドチェーン」の重要性について解説しました。しかし、「高性能な業務用の冷蔵庫や保冷車を導入したから安心」とはいかないのが、GDPの厳格なところです。
今回は指定の温度を維持できることを科学的なデータで事前に証明するプロセスである、「マッピング」と「適格性評価(バリデーション)」について解説します。
空間の「温度のクセ」を見抜く温度マッピング
倉庫やトラックの荷台、あるいは大型の冷蔵庫の中は、空間内のすべての場所が全く同じ温度になることはありません。冷風の当たり具合、扉の開閉による外気の流入、外壁からの熱の影響などで、必ず「温度のムラ」が生じます。
温度マッピングとは、対象となる空間内の数十箇所(規模による)に温度センサーを均等に設置し、一定期間連続して温度を測定・記録する作業です。夏と冬など、外部環境が最も過酷になる条件で実施することが推奨されます。
このマッピングを行う最大の目的は、空間内の「最も温度が高くなる場所(ホットスポット)」と「最も温度が低くなる場所(コールドスポット)」を特定することです。日常的な温度モニタリングに使うセンサーは、適当な場所に置くのではなく、このマッピング結果から判明した「最もリスクの高い場所」に設置しなければなりません。
設備の信頼性を証明する「適格性評価(Qualification)」
温度を管理する設備(保管庫、空調システム、輸送用保冷容器など)が、要求された性能を確実に発揮できるかを検証し、文書として記録するプロセスを適格性評価と呼びます。
一般的に、設備を導入する際は以下の3つのステップを踏んで「間違いなく機能すること」を証明します。
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IQ(Installation Qualification:据付時適格性評価) 設備が設計書や仕様書の通りに、正しい部品で、正しく設置されているかを確認します。(例:指定された型番のセンサーや空調機が正しい位置に取り付けられているか)
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OQ(Operational Qualification:運転時適格性評価) 設備を(医薬品を入れない空の状態で)稼働させ、設定通りの温度帯で正しく動作するかを確認します。わざと扉を開け放してアラームが鳴るかテストしたり、停電時の予備電源への切り替えテストなどもここで行われます。
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PQ(Performance Qualification:稼働性能適格性評価) 実際に医薬品(または模擬品)を積載し、日常の業務と同じ状態で稼働させます。荷物が満載の状態で扉の開け閉めを行っても、要求される温度が空間全体で維持できるかを最終検証します。
これらは非常に時間とコストがかかるプロセスですが、GDPにおいて「高性能な設備だから冷えているだろう」という推測や過信は許されません。「いつ、誰が、どんな状況で運用しても、確実に品質を保てる」ことを科学的な証拠として残すことが、GDPコンプライアンスの要となります。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
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