メディカルロジスティクスサイト

トップページ > 物流コラム

医薬品GDPのクラウドでのバックアップ

2026/09/09(2026/08/31)
0
医薬品GDP
医薬品GDPのクラウドでのバックアップ

こんにちは。

医薬品GDPにおいて、温度管理データや在庫記録を管理するコンピュータ化システムは非常に重要な役割を担っています。近年では利便性やコストの観点から「クラウドシステム」を導入し、「バックアップ」もクラウド上で行うケースが増えていますが、医薬品業界ならではの厳格なルールが存在します。

ここでは、「医薬品GDPにおけるクラウドとバックアップ」について、なぜ厳しいルールがあるのか、そして実務上どのような点に気をつけるべきかを分かりやすく解説します。

なぜ医薬品GDPで「データ」がそれほど重要なのか?

医薬品GDPの目的は、工場で作られた医薬品が患者さんの手に渡るまで「品質を落とさず、偽造薬を紛れ込ませない」ことです。そして、これを証明する唯一の手段が「記録(データ)」です。

  • 「輸送中・保管中、指定の温度(例:2〜8℃)が保たれていたか?」

  • 「誰が、いつ、出荷の承認を行ったか?」

これらのデータが改ざんされたり、消えてしまえば、医薬品の品質を担保できなくなります。これを「データインテグリティ(データの完全性・正確性)の確保」と呼びます。紙の記録であれ、電子データであれ、この考え方がGDPの根底にあります。

「クラウド」化の波と、医薬品業界ならではの落とし穴

現在、自社内にサーバーを置く(オンプレミス)のではなく、AWSやAzureなどのクラウドサービスを利用してシステムを構築する企業が増えています。クラウドは「保守の手間が省ける」「災害に強い(BCP対策)」というメリットがあります。

【医薬品業界の落とし穴】 しかし、一般企業のシステムと違い、「クラウドベンダーにお任せ」では許されません。医薬品を扱うシステムは、CSV(コンピュータ化システムバリデーション:システムが正しく動くことを検証し文書化すること)や、ER/ES指針(電子記録・電子署名に関するルール)に準拠する必要があります。

たとえクラウドベンダーのサーバーであっても、「最終的なデータの品質と管理責任は、システムを利用する医薬品事業者(荷主や物流業者)にある」というのが規制当局のスタンスです。

GDPが求める「バックアップ」の絶対条件

GDPガイドラインや関連規制において、システムの故障や災害などによる「記録の永久的な消失」は絶対に防がなければならないとされています。ここで重要になるのがバックアップです。

単にデータをコピーしておけば良いわけではなく、以下のような要件を満たす必要があります。

  1. 定期的な取得と別保管:

    データの重要度に応じて定期的にバックアップを取り、メインシステムが壊れても巻き込まれないよう、物理的に離れた場所(別サーバーや別リージョンなど)に保管すること。

  2. 監査証跡(オーディットトレイル)も残す:

    温度データや在庫データ本体だけでなく、「誰が・いつ・システムにログインし、データを操作したか」という履歴データも、改ざんできない状態でバックアップする必要があります。

  3. 「復旧(リストア)テスト」の実施:

    これが一番よく指摘されるポイントです。「バックアップを取っている」だけで満足してはいけません。万が一の際、「そのバックアップから確実にシステムを元通りに復元できるか」を定期的にテストし、手順書を整備しておくことが求められます。

クラウドでバックアップを運用するための「3つの実務ポイント」

実際にクラウド環境でバックアップを運用する際、実務担当者は以下の点を確認・評価しなければなりません。

  • ① サプライヤー評価(ベンダーオーディット) 利用しているクラウドベンダー(またはシステム提供会社)が、適切なセキュリティ管理やバックアップ体制を敷いているか、書面や実地監査によって評価し、記録を残すこと。

  • ② 責任分界点の明確化(SLAの締結) 「どこまでをベンダーが管理し、どこからを自社が管理するのか」をSLA(サービスレベル合意書)などで明確にしておくこと。特にバックアップの頻度や保存期間、データセンターの所在地(国内か海外か)は把握必須です。

  • ③ サイバーセキュリティ対策 ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の被害に遭うと、メインデータだけでなくネットワークに繋がったバックアップデータまで暗号化されてしまう恐れがあります。バックアップデータを隔離された環境に置くなどの対策も近年重視されています。

まとめ

医薬品GDP対応において、クラウドを利用したデータの管理とバックアップは、災害対策の観点からも非常に有効で推奨される選択肢です。

しかし、「クラウドだから安全」と盲信するのではなく、「データが失われない確実な仕組み(バックアップ)」「有事の際に正しく復元できる証拠(リストアテストの実施)」を、自社の責任においてしっかり構築し文書化しておくことが、GDPに準拠した正しい姿勢と言えます。

 

作成 :薬剤師 菅沼一茂

 

年内で株式会社丸総メディカルロジスティックスサイトは
株式会社丸総コーポレートサイト内(https://marusoh-el.co.jp/journal/medical/)に
統合されます。

丸総が実現する「流れ続ける物流」

株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:

  • 温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理

  • リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)

  • BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)

医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。

医薬品物流の見直し、ぜひ丸総にご相談ください

薬企業・卸企業・医療機関の皆様、
丸総が医薬品物流のパートナーとしてお力になります。

▶︎ [お問い合わせはこちら]

メディカル担当

電話:0548-32-0770

e-mail:sales@marusoh-el.co.jp

お問い合わせ

医薬品・医療機器の物流に関することや資料請求はお気軽にお問い合わせください