医薬品GDPの逸脱の報告書
2026/09/16(2026/09/04)
医薬品GDP
こんにちは。
今回は逸脱の報告書について考えてみましょう。
業務の中で、絶対に避けて通れないのが「逸脱(いつだつ)」への対応です。
「逸脱が起きた!報告書を書かなきゃ!」と焦る前に、そもそも逸脱とは何か、なぜ報告書がそれほど重要なのか、そしてどのような項目を記載すべきかについてまとめました。
そもそも「逸脱(いつだつ)」って何?
GDPにおける逸脱とは、一言でいうと「定められたルール(手順書や基準)から外れた事態が発生したこと」です。
【GDPでよくある逸脱の事例】
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温度逸脱: 輸送中や保管中の温度が、指定された範囲(例:2〜8℃の要冷蔵)から外れてしまった。
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物理的破損: 輸送中にパレットが倒れたり、落下させたりして、医薬品の外箱が破損してしまった。
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誤配送・紛失: 違う届け先に納品してしまった、または輸送中に荷物が行方不明になった。
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手順の不履行: 出荷前に義務付けられているダブルチェックを怠ったまま出荷してしまった。
人間が作業し、機械や車両を使う以上、トラブルを完全にゼロにすることは困難です。GDPにおいて重要なのは「絶対にミスをしないこと」以上に、「起きてしまった後、どう正しく対処するか」です。
なぜ「逸脱報告書」はそんなに厳しく求められるの?
「ちょっと手順から外れただけだし、製品は無事そうだから内緒にしておこう…」は絶対にNGです。なぜなら、医薬品の品質劣化は、最終的に患者さんの命や健康に直結するからです。
逸脱報告書を作成する目的は、「ミスをした犯人を叱るため」ではありません。本当の目的は以下の3つです。
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品質の担保: その医薬品がまだ使えるか(有効性と安全性が保たれているか)を科学的に評価・判定するため。
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原因究明: なぜその逸脱が起きたのか、根本的な原因を突き止めるため。
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再発防止(CAPA): 同じミスを二度と起こさないための「仕組み」を作るため。
完璧な逸脱報告書を作るための「5つの重要項目」
いざ報告書を書く際、単なる「反省文」になってはいけません。保健当局や荷主からの監査(査察)でも耐えうるよう、以下の要素を論理的に記載する必要があります。
① 事象の詳細(何が起きたか?)
まずは事実を客観的に書きます。「いつ・どこで・誰が・何を・どうしたか(5W1H)」を明確にします。
② 応急処置・初動対応(その場ですぐ何をしたか?)
被害を最小限に食い止め、不良品が市場に出回るのを防ぐための対応です。
③ 品質への影響評価(薬は大丈夫か?)
その逸脱が、医薬品の品質にどのような影響を与えるかを評価します(通常は品質保証部門の責任者が最終判断します)。
④ 根本原因の究明(なぜ起きたのか?)
「不注意でした」「焦っていました」で終わらせず、「なぜ不注意が起きたのか」を深掘りします(なぜなぜ分析など)。
⑤ 是正措置・予防措置(CAPA:どうやって防ぐか?)
報告書の心臓部です。個人の気合いや「次から気をつけます」ではなく、システムや仕組みで解決する内容にします。
まとめ:逸脱報告は「改善への宝の山」
GDPにおける逸脱報告書は、査察官(PMDAや都道府県の薬務課など)が必ずチェックする最重要書類です。彼らは「逸脱がゼロの会社」よりも、「逸脱を隠さず正しく報告し、根本原因を解決して継続的改善を回している会社」を高く評価します。
報告書の作成は手間がかかりますが根付かせるための重要なステップです。隠さず、正確に記録し、次に活かす。これこそが医薬品GDPの基本精神です。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
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