医薬品GDPの夏季の温度マッピング
2026/07/09(2026/06/26)
医薬品GDP
こんにちは。
今回は夏季の温度マッピングについて考えてみましょう。
医薬品の流通過程における品質保証の基準であるGDP。その中でも、特に現場の頭を悩ませ、かつ極めて重要なのが「温度管理」です。
今回は、GDP対応において避けては通れない「夏季の温度マッピング」について、なぜ必要なのか、どのような点に注意すべきかを分かりやすく解説します。
そもそも「温度マッピング」とは?
温度マッピングとは、医薬品を保管する倉庫や冷蔵設備、輸送車両などの「空間内の温度分布(バラツキ)を可視化する作業」のことです。
空間の温度は一定ではありません。「エアコンの吹き出し口付近は冷たい」「天井付近は暖かい」「扉の近くは外気が入りやすい」といったように、場所によって必ず温度差が生じます。空間内の様々な場所に複数の温度ロガー(記録計)を一定期間設置し、「どこが一番暑くなりやすいか(ホットスポット)」「どこが一番冷えやすいか(コールドスポット)」を科学的・客観的に証明するのがマッピングの目的です。
なぜ「夏」に実施することが重要なのか?
GDPのガイドラインや関連法規では、温度マッピングは原則として「季節の極端な時期(夏季および冬季)」に実施することが求められています。
夏季が重要視される理由は、「高温に対するワーストケース(最悪の条件)」を検証するためです。
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強烈な外部環境からの熱負荷: 夏場は外気温が35℃を超えることも珍しくありません。倉庫の屋根や壁面が直射日光で熱せられ、その熱が内部に伝わります。
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空調設備の限界テスト: 外気が暑い分、空調設備(エアコン)はフル稼働します。「空調が最も過酷な状況下でも、倉庫内の隅々まで規定の温度(例:室温保存なら1〜30℃、冷所保存なら2〜8℃など)を維持できるか」を証明しなければなりません。
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扉の開閉による影響: 荷物の搬出入でドックシェルターや扉が開く際、まとまった熱気が侵入します。夏場はこれが致命的な温度逸脱に繋がりやすくなります。
夏季の温度マッピング:実践における重要ポイント
実際に夏季のマッピングを行う際、特に気を付けるべきポイントは以下の通りです。
マッピング結果をどう活かすか?(事後対応)
マッピングは「データを取って終わり」ではありません。得られた結果を運用に落とし込むことがGDPの本来の目的です。
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保管場所の制限: もし「夏場の午後だけ、西側の最上段ラックが30℃を超えてしまう」という結果が出た場合、夏季期間中はそこを「医薬品保管不可エリア(空きスペース)」として運用するなどの対策をとります。
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定点モニタリングへの反映: マッピングで特定された「最も温度が上がりやすい場所(ホットスポット)」と「最も下がりやすい場所(コールドスポット)」に、日常的な温度監視用のセンサーを常設します。「この一番過酷な場所が基準内におさまっているなら、他の場所もすべて安全である」というロジックを成立させるためです。
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空調の改善: あまりにも温度ムラがひどい場合は、サーキュレーターを設置して空気を撹拌したり、空調設備自体を増強したりする判断材料になります。
まとめ
夏季の温度マッピングは、医薬品の品質を猛暑から守るための「健康診断」のようなものです。手間もコストもかかる作業ですが、患者さんの手元に安全で有効な薬を届けるという、製薬・流通業界の使命を果たすための極めて重要な証拠となります。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
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