医薬品GDPの記録
2026/07/10(2026/06/26)
医薬品GDP
こんにちは。
今回は記録について考えてみましょう。
医薬品のGDPにおいて、最も重要と言っても過言ではないのが記録です。GDPの現場では、「記録のないものは、実施していないのと同じ」という厳しい原則が貫かれています。
今回は、医薬品GDPにおける記録の重要性やポイントを、わかりやすく解説風にまとめました。
なぜ「記録」がそこまで重要なのか?
医薬品は、患者さんの生命や健康に直結する製品です。そのため、製造から医療機関に届くまでのすべてのプロセスで、品質が保たれていたことを客観的に証明できなければなりません。
記録の主な目的は以下の3つです。
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トレーサビリティ(追跡可能性)の確保 万が一、製品に不良が見つかった場合、それが「いつ」「どこで」「誰によって」扱われたのかを即座に特定し、迅速に回収できるようにするため。
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偽造医薬品の混入防止 正規の流通ルートを正確に記録し続けることで、途中で偽造品が紛れ込む隙をなくします。
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適合性の証明(監査・査察対応) 当局の査察や委託元の監査が入った際、手順通りに正しく業務が行われていたことを示す唯一の証拠になります。
GDPで求められる「記録」の種類
GDPで管理すべき記録は多岐にわたりますが、代表的なものは以下の通りです。
| <カテゴリ> |
<主な記録内容> |
| 入出荷・在庫管理 |
入荷日時、製品名、ロット番号、数量、有効期限、出荷先情報など |
| 環境モニタリング |
倉庫や輸送車両の温度・湿度データ(24時間連続記録が基本) |
| 機器の管理 |
温度計・バリデーション機器の校正記録、冷蔵・冷凍設備のメンテナンス記録 |
| 作業記録 |
清掃記録、防虫・防鼠(害虫駆除)の実施記録、教育訓練の受講ログ |
| 異常・トラブル |
温度逸脱(設定温度を超えた・下回った)時の報告書、苦情・返品処理の記録 |
信頼される記録を作るための「ALCOA+」原則
GDPの記録(データインテグリティ:データの信頼性)を確保するために、世界中で採用されているのが「ALCOA+(アルコア・プラス)」というフレームワークです。
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Attributable(帰属性):誰が記録したかが明確であること(署名・ID)
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Legible(判読性):誰が見ても読める・理解できること(破棄・改ざんの禁止)
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Contemporaneous(同時性):作業を行ったその場で(リアルタイムに)記録すること
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Original(原本性):コピーではなく、最初の生データ(またはその正確な複製)であること
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Accurate(正確性):数値や内容が正確で、修正する場合は履歴を残すこと
「+(プラス)」の要素 さらに、完全性(Complete)、一貫性(Consistent)、不変性(Enduring)、利用可能性(Available)を満たすことが求められます。
実務での注意点(よくあるNG例)
現場でついついやってしまいがちな、GDP上「アウト」になる事例です。
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❌ 「後でまとめて書こう」 ➡️ 同時性の欠如。記憶違いの元になります。
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❌ 鉛筆や消せるボールペンでの記入 ➡️ 改ざんが可能になるため厳禁。必ず消えないインクを使用します。
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❌ 修正テープでの訂正 ➡️ 修正前のデータが見えなくなるためNG。二重線を引き、修正理由、日付、修正者のサインを残すのがルールです。
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❌ 他人の名前での代筆・サイン ➡️ 帰属性が崩壊するため絶対にやってはいけません。
まとめ:記録は「品質」そのもの
医薬品のGDPにおける記録は、単なる「事務作業」ではなく、医薬品の品質の一部です。どれだけ丁寧に運んで保管していても、それを証明する記録がなければ、その医薬品は「流通不適切」とみなされてしまうリスクがあります。
「いつ・誰に見せても胸を張れる記録を残すこと」が、GDPを遵守する上での大原則です。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
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