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医薬品GDPの薬品事故から学ぶ現場の安全管理

2026/08/31(2026/08/28)
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医薬品GDP
医薬品GDPの薬品事故から学ぶ現場の安全管理

こんにちは。

今回は薬品事故から学ぶ現場の安全管理を考えてみたいと思います。

 

はじめに

2026年8月27日、北海道大学理学部の建物内で、大学院生がフッ化水素酸を被る事故が発生しました。

北海道大学の発表によると、被災した大学院生1名が搬送先の病院で死亡し、救助にあたった大学院生1名と学部学生1名も軽傷を負いました。大学は現在、関係機関と連携して事故原因を調査しています。

今回の事故で特に考えさせられるのは、

「事故を起こさないこと」だけではなく、「事故が起きた瞬間に、二次災害をどう防ぐか」

という点です。

医薬品GDPの現場でも、薬品、洗浄剤、消毒剤、危険物など、さまざまな物質を取り扱います。

今回の事故を、自分たちの現場に置き換えて考えてみましょう。

今回の事故から学ぶべきこと

今回、報道されている事実として、

  • フッ化水素酸を被る事故が発生
  • 被災した大学院生が死亡
  • 救助にあたった2名も薬品に触れ、軽傷
  • 現在、事故原因を調査中

という状況が確認されています。

ここで重要なのは、

「助けようとした人まで被災した」

というところです。

事故現場では、人は反射的に、

「大丈夫か!」
「助けなければ!」

と考えます。

これは自然な反応です。

しかし、危険な薬品が関係する事故では、救助者自身が二次被災者になる可能性があります。

したがって、現場の安全教育では、

「助けること」と「安全に助けること」は違う

と教えておく必要があります。

フッ化水素酸とは

フッ化水素酸は、非常に危険性の高い化学物質です。

皮膚に付着した場合、単純な「表面のやけど」と考えてはいけません。

そのため、取り扱いには、

  • 適切な保護具
  • 保管方法
  • 取扱手順
  • 緊急時対応
  • 教育訓練
  • SDSの確認

などが重要になります。

ただし、今回の事故については、具体的にどのような作業中に、どのような原因で事故が発生したのかは、現時点では確定していません。

したがって、

「○○が原因だった」

と決めつけることは避けなければなりません。

これはGDPの逸脱調査でも非常に重要な考え方です。

医薬品GDPとの共通点

「大学の研究室の事故だから、医薬品GDPとは関係ない」

と思うかもしれません。

しかし、考え方には共通点があります。

GDPでは、

医薬品の品質を守ること

が中心です。

そのためには、

人・設備・環境・手順・記録

を適切に管理する必要があります。

例えば倉庫で薬品を取り扱う場合、

「薬品を置いてある」

だけでは十分ではありません。

重要なのは「管理されている状態」です。

  • 誰が扱うのか
  • どこに置くのか
  • どのように扱うのか
  • 異常時はどうするのか
  • 漏出したらどうするのか
  • 事故発生時に誰へ連絡するのか
  • 使用後はどう処理するのか

ここまで決めて初めて、安全管理になります。

現場で最も怖い「慣れ」

薬品事故で怖いものの一つが、

「いつもやっているから大丈夫」

という感覚です。

最初は、

「これは危険な薬品だから注意しよう」

と思っていたものでも、毎日扱っていると、

「いつもの作業」

になってしまいます。

これを慣れによるリスクの見落としと考えることができます。

GDPでも同じです。

例えば、

  • 温度ロガーの確認
  • 冷蔵庫の扉の開閉
  • 医薬品の入出庫
  • 清掃
  • 返品処理
  • 破損品の取り扱い
  • 消毒剤・洗浄剤の使用

など。

毎日やっている作業ほど、

「本当に安全な方法でやっているか?」

を定期的に見直す必要があります。

「異常が起きたらどうする?」を決めておく

安全管理では、

事故が起きないことを前提にしない

ことが重要です。

事故は、

  • 薬品をこぼす
  • 容器を落とす
  • ラベルが剥がれる
  • 液漏れする
  • 医薬品を破損する
  • 冷蔵設備が停止する
  • 温度逸脱が発生する

など、さまざまな形で発生します。

だからこそ、

平常時の手順

だけでなく、

異常時の手順

を決めておきます。

事故発生時の基本的な考え方

薬品事故が発生した場合、現場の人が覚えておくべき基本は、

「近づく前に考える」

です。

例えば、

① 異常を確認

② 自分自身の安全を確保

③ 必要に応じて周囲を立入禁止にする

④ 責任者・管理者へ連絡

⑤ SDS・緊急時手順を確認

⑥ 必要な場合は119番等へ通報

⑦ 訓練された方法・適切な保護具で対応

という考え方です。

※実際の対応は、薬品の種類、曝露状況、施設の手順、SDS、消防・医療機関等の指示に従います。

「善意の救助」が二次災害にならないために

今回の事故から、特に現場スタッフに伝えたいポイントです。

危険物事故では、

「すぐに駆け寄る」=正しい対応

とは限りません。

例えば、

「倒れている人を助けよう!」

と無防備に近づいた結果、自分も薬品に接触する。

これでは、

被災者1人 → 被災者2人 → 被災者3人

と被害が拡大する可能性があります。

したがって、

「救助者の安全確保も救助活動の一部」

と考えます。

これは非常に重要な安全教育です。

医薬品倉庫で考えてみる

では、医薬品倉庫に置き換えてみましょう。

例えば、

洗浄剤の容器が倒れて液体が漏れている

とします。

そこへ作業員が来ました。

「早く拭かなければ!」

と素手で雑巾を持って近づく。

これは危険です。

まず、

  • 何が漏れているのか
  • ラベルは確認できるか
  • SDSはあるか
  • 保護具は必要か
  • 換気は必要か
  • 周囲への立入を制限する必要があるか
  • 誰に連絡するか

を考えます。

「分からないものには触らない」

現場教育で非常に分かりやすいルールです。

正体が分からない液体

ラベルのない容器

漏れている薬品

破損している容器

異臭のあるもの

このようなものを、

「たぶん大丈夫」

で処理しないこと。

「何だろう?」

と思った時点で、

勝手に触らない。

これだけでも、事故防止につながります。

SDSを「置いてあるだけ」にしない

SDSは、単なる書類ではありません。

事故が発生したときに、

「この物質は何なのか?」
「どんな危険性があるのか?」
「どう対応するのか?」

を確認する重要な情報源です。

そのため、

SDSがどこにあるかを、現場スタッフが知っている

ことが重要です。

「管理者しか知らない」では、緊急時の対応が遅れる可能性があります。

GDPでは「記録」も安全対策

事故が起きたら、

「片付けて終わり」

ではありません。

GDPでは、

何が起きたのかを記録する

ことが重要です。

例えば、

  • 発生日時
  • 発生場所
  • 対象物
  • 発見者
  • 発見時の状況
  • 初期対応
  • 被害状況
  • 関係者への連絡
  • 医薬品への影響
  • 環境への影響
  • その後の対応

などを記録します。

「誰が悪いか」より「なぜ起きたか」

事故調査でありがちな考え方があります。

「担当者が確認しなかったからだ」

しかし、それだけでは本当の原因にたどり着けない場合があります。

例えば、

「確認しなかった」

なぜ?

「忙しかった」

なぜ?

「作業量が多かった」

なぜ?

「人員配置と作業量が合っていなかった」

というように、さらに原因を掘り下げることができます。

GDPのCAPAにつなげる

事故・逸脱が発生したら、

Corrective Action

是正措置

だけでなく、

Preventive Action

予防措置

まで考えます。

例えば、

問題:薬品容器の取り扱い中に液漏れ

原因調査

手順の問題?

教育の問題?

設備の問題?

容器の問題?

保管方法の問題?

対策

  • 手順書改訂
  • 教育再実施
  • 保管場所変更
  • 容器確認
  • 表示改善
  • 点検頻度変更

という流れです。

これがCAPAの考え方です。

現場で見直したい「5つの安全」

今回の事故をきっかけに、医薬品GDPの現場では次の5項目を点検してみましょう。

① 人

教育・力量は十分か?

② 物

薬品・医薬品・資材は適切に管理されているか?

③ 設備

保管設備・緊急設備は使用可能か?

④ 手順

異常時の対応方法は明確か?

⑤ 記録

事故・逸脱・対応内容を追跡できるか?

現場チェックリスト

確認項目 チェック
危険な薬品の種類を把握している
SDSの保管場所を知っている
薬品の保管場所が明確になっている
容器・ラベルに異常がない
必要な保護具が準備されている
漏出時の対応手順がある
緊急連絡先が分かる
事故時の立入制限方法を理解している
救助時の二次被災リスクを教育している
事故・逸脱を記録する仕組みがある
原因調査・CAPAにつなげられる

朝礼で伝えたい一言

現場スタッフには、難しい話を長くするより、次の一言を覚えてもらうのも効果的です。

「事故を見つけたら、まず自分の安全を確認する。」

そして、

「分からない薬品には、勝手に触らない。」

さらに、

「事故を隠さず、すぐ報告する。」

この3つを徹底するだけでも、現場の安全意識は大きく変わります。

今回の事故から学ぶGDPの本質

GDPは、

「決められた手順を守ること」

だけではありません。

本当の目的は、

医薬品の品質を守ること

そして、

そのために、人・設備・環境・手順を安全な状態に保つこと

です。

だからこそ、

安全管理とGDPは別々のものではありません。

安全な職場でなければ、安定した品質管理もできません。

まとめ

今回の北海道大学の事故については、現時点で事故原因が調査中です。したがって、原因を推測して結論づけるのではなく、**「危険物を扱う現場では何を準備しておくべきか」**という観点から学ぶことが重要です。

今回の研修で覚えておきたいのは、次の5点です。

① 危険物事故では二次災害に注意する

② 救助者自身の安全確保を忘れない

③ 分からない薬品には勝手に触らない

④ 異常・事故はすぐに報告する

⑤ 事故をCAPA・手順改善につなげる

最後に

「事故は、起きてから対応するもの」ではありません。

事故が起きる前に、

「もし今、薬品が漏れたら?」
「もし倉庫で薬品をこぼしたら?」
「もし担当者が一人だったら?」
「もし救助に入った人まで被災したら?」

と考えておく。

これがリスクマネジメントです。

そしてGDPの現場では、

「品質を守る」=「安全を守る」

という意識を持つことが大切です。

「安全は、事故が起きてから考えるものではない。
事故が起きる前に、みんなで考えておくもの。」

 

作成 :薬剤師 菅沼一茂

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