品質システムの基本目的
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医薬品の品質・有効性・安全性を保護すること
→ 流通過程で温度逸脱、破損、混同などを防止する。 -
正規流通とトレーサビリティの確保
→ 偽造品の侵入防止、ロット・製品の追跡性確保。 -
継続的な業務改善(継続的改善)
→ データに基づき、業務フローや設備を見直す PDCA サイクルを運用。

こんにちは。
今回は品質システムについて考えてみましょう。
医薬品の流通における品質システムとは、医薬品が正しい条件で受領・保管・輸送され、真正性が保証されたまま需要者へ届くように管理する総合的な仕組みを指します。製造分野での品質保証を、物流領域に合わせて最適化したものと言えます。
医薬品の品質・有効性・安全性を保護すること
→ 流通過程で温度逸脱、破損、混同などを防止する。
正規流通とトレーサビリティの確保
→ 偽造品の侵入防止、ロット・製品の追跡性確保。
継続的な業務改善(継続的改善)
→ データに基づき、業務フローや設備を見直す PDCA サイクルを運用。
(1) 組織体制と責任
GDP責任者(管理薬剤師等)が中心となり、品質管理の実効性を確保。
各部門に明確な役割と責任を割り当て、曖昧な権限を残さない。
(2) 文書と記録の管理
SOP(手順書)、記録書式、マニュアルを整備し、最新状態を維持。
記録は「追記可能・消せない」形態で保管し、トレーサビリティを担保。
(3) リスクマネジメント
温度逸脱、誤出荷、盗難など想定されるリスクを評価(FMEA など)。
重大性・発生頻度・検出難易度に応じ、適切な管理策を実施する。
(4) 訓練・教育
GDP要件、危機管理、温度管理、セキュリティなどの教育を継続的に実施。
新任者にはオリエンテーション、年1回以上の定期訓練を実施。
(5) 施設・設備・機器の管理
保管温度を維持する空調設備、温度ロガー、セキュリティ機器を適正管理。
校正・点検のスケジュールを管理し、記録を残す。
(6) 輸送管理
適切な輸送温度帯、梱包、加温・冷却の必要性を判断。
輸送中温度モニタリングと逸脱発生時の連絡体制を構築。
(7) 外部委託管理
委託先(保管、輸送業者含む)の適格性を評価し、GDP要件を契約に明記。
定期評価・監査により適切に管理。
(8) 逸脱管理・是正措置(CAPA)
事故・ミス・温度逸脱などの「逸脱」を記録し、原因分析を実施。
是正措置(CA)と予防措置(PA)を計画し実行する。
品質システムは作って終わりではなく、以下のように回していくことが重要です。
P(Plan):手順の整備、リスク評価、教育計画
D(Do):日常業務の実施、温度管理、記録の作成
C(Check):自己点検(内部監査)、記録のレビュー
A(Act):改善策の実行、システムの改訂
輸送トラブル、温度逸脱、近隣倉庫の停電など、日々発生するヒヤリハットも改善に活かすことで、品質システムは強化されていきます。
● 温度管理の一貫性
倉庫 → 積込 → 輸送 → 納入 のすべてで適正温度を保持する仕組みを構築。
● セキュリティと偽造品防止
アクセス制限、監視、防犯体制を強固にする。
● 実行可能な手順書
現場の実態に即し、誰が読んでも理解できる手順であること。
● 記録を残し、検証できる状態
「言った・やった」ではなく、「記録」で証明できることが必須。
医薬品GDPにおける品質システムは、
“医薬品を安全に、確実に、正しく届けるための全体的な仕組み” です。
設備・手順・教育・記録・改善のすべてを連動させることで、流通過程における品質リスクを最小化し、医薬品の完全性(Integrity)を守ることができます。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:
温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理
リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)
BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)
医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。
製薬企業・卸企業・医療機関の皆様、
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