医薬品GDPにおける「医薬品の回収」とは
医薬品の回収とは、市場に出荷された製品のうち、品質や安全性に問題が生じた可能性のあるものを回収する行為を指します。
これは、患者や医療機関への影響を最小限にとどめるための、極めて重要な品質保証活動の一つです。
GDPの観点では、「迅速かつ効果的な回収体制の整備と運用」が求められます。

こんにちは。
今回は医薬品の回収について考えたいと思います。
医薬品の回収とは、市場に出荷された製品のうち、品質や安全性に問題が生じた可能性のあるものを回収する行為を指します。
これは、患者や医療機関への影響を最小限にとどめるための、極めて重要な品質保証活動の一つです。
GDPの観点では、「迅速かつ効果的な回収体制の整備と運用」が求められます。
医薬品の回収は、以下のような場合に実施されます。
製品に品質不良(異物混入、表示誤り、含量不良など)が判明した場合
承認書との不一致が判明した場合
流通過程での汚染・誤出荷が発生した場合
行政指導(厚生労働省・都道府県)に基づく場合
これらは、患者の安全確保に直結するため、迅速な判断と確実な対応が必要です。
GDPガイドラインでは、医薬品の回収に関して次のような仕組みを求めています。
● 回収手順書の整備
回収の責任者および関係部署の役割を明確にする。
回収開始の判断基準、連絡経路、記録方法、報告ルートを定める。
休日や夜間も対応可能な緊急体制を整備する。
● 回収の追跡可能性
ロットごとの出荷・納入記録を整備し、どの顧客にどの数量が出荷されたかを即時に確認できるようにする。
これは、GDPにおけるトレーサビリティの確保と密接に関係します。
● 回収の実施と記録
回収対象製品の回収状況を常に把握し、進捗を記録する。
回収完了後は、原因究明・再発防止策(CAPA)を実施する。
物流担当者や倉庫管理者は、回収対応において次の点に注意する必要があります。
回収指示が出た製品を直ちに出荷停止とし、在庫を隔離保管する。
回収品が返送された場合は、通常品と混在しないよう明確に区分して保管する。
回収記録(数量、ロット、返却日、顧客名など)を正確に記録し、品質保証部門に報告する。
回収対象品の誤出荷防止を徹底するため、システム上でのフラグ管理や物理的な封鎖措置も重要です。
回収の完了後は、報告書を作成し、行政機関や製造販売業者に報告します。
回収原因の分析結果をもとに、教育訓練や手順書の見直しを行い、再発防止を図ります。
倉庫や輸送段階で起こり得る誤出荷・誤混入を防ぐため、定期的な模擬回収(訓練)を実施することが推奨されます。
医薬品の回収は、品質管理やトレーサビリティ体制の実効性を試される重要なプロセスです。
倉庫・物流現場においても、「正確な記録管理」「迅速な連携」「確実な隔離保管」を徹底することが、GDPの遵守につながります。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:
温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理
リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)
BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)
医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。
製薬企業・卸企業・医療機関の皆様、
丸総が医薬品物流のパートナーとしてお力になります。
▶︎ [お問い合わせはこちら]
メディカル担当
電話:0548-32-0770
e-mail:sales@marusoh-el.co.jp
