返却品の取り扱いが重要な理由
医薬品は品質や有効性、安全性が確保されて初めて患者へ届けられる製品です。
一度出荷された医薬品が何らかの理由で返却された場合、その保管・輸送中の状態が不明であることが多く、品質に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、返却された医薬品を再び出荷や販売に回す際には、慎重な判断と明確な手順が求められます。

こんにちは。
今回は返却された医薬品について考えてみます。
医薬品は品質や有効性、安全性が確保されて初めて患者へ届けられる製品です。
一度出荷された医薬品が何らかの理由で返却された場合、その保管・輸送中の状態が不明であることが多く、品質に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、返却された医薬品を再び出荷や販売に回す際には、慎重な判断と明確な手順が求められます。
GDPでは、返却医薬品の取扱いについて以下のような原則が定められています。
品質を保証できない返却品は再販売してはならない。
再販売を行う場合は、適切な評価・確認手順を経た場合のみに限定される。
返却医薬品の受入、評価、処理に関する手順書(SOP)を整備しておくことが必須。
返却された医薬品を再利用(再販売・再出荷)するかどうかを判断する際には、以下のような観点で確認します。
| 確認項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 保管条件 | 返却までの温度・湿度が製品の保管条件を逸脱していないか |
| 開封・破損 | 外箱やシールが開封されていないか、破損がないか |
| 期限 | 有効期限内であるか |
| 外観 | 汚れ・変色・ラベル剥がれなどがないか |
| 取扱履歴 | どのような輸送経路で、誰の手に渡っていたかのトレーサビリティ |
これらを確認したうえで、品質保証部門(または管理薬剤師)による最終判断が必要です。
次のような条件をすべて満たす場合に限り、再販売を検討できます。
密封状態が保持されている(未開封)。
製造番号や有効期限が明確で、追跡が可能。
保管・輸送中の温度条件などが記録等により確認可能。
製品に外観上の異常が認められない。
これらを満たさない場合は、原則として廃棄の対象となります。
販売された医薬品は原則販売可能在庫に戻すことはできない。ただし、当該製品が全期間にわたって承認された保管条件の下にあったことを示す文書化された証拠が存在する場合はこの限
りではない。
販売可能在庫に戻して販売先に販売することはできない。
GDPでは、返却に関する記録を正確に残すことが求められています。
主な記録事項は次の通りです。
返却日・返却者名・数量・ロット番号
返却理由
評価・判定結果(再販売可/廃棄)
判定者(品質部門責任者など)
処理日および処理方法
これらの記録はトレーサビリティの確保に直結します。
再販売できないと判断された医薬品は、適切な方法で廃棄します。
廃棄は次の点に注意します。
廃棄手順書に従い、管理された場所で実施する。
廃棄数量とロット番号を記録し、監査証跡を残す。
廃棄業者が適格であることを確認する(委託先評価)。
返却品の取扱いは担当者の判断ミスが発生しやすい工程です。
したがって、倉庫担当者・配送担当者への教育が不可欠です。
「返却された医薬品は、必ず所定の手順で品質部門に報告・隔離保管する」ことを日常業務のルールとして徹底する必要があります。
返却された医薬品の適正管理は、品質保証体制の信頼性を示す指標のひとつです。
「安易に再出荷しない」「判断は必ず記録と証拠に基づく」——
これらの原則を守ることが、医薬品GDP遵守の根幹です。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:
温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理
リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)
BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)
医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。
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