医薬品の完全性とは
製造時から患者に届くまでの全ての過程において、医薬品の品質・有効性・安全性が損なわれていない状態を指します。
これは、製造所で保証された品質を最終的な使用者にまで確実に維持することを意味します。

こんにちは。
今回は医薬品GDPの医薬品の完全性の保持について考えたいと思います。
製造時から患者に届くまでの全ての過程において、医薬品の品質・有効性・安全性が損なわれていない状態を指します。
これは、製造所で保証された品質を最終的な使用者にまで確実に維持することを意味します。
GDP(Good Distribution Practice:医薬品の適正流通基準)は、
医薬品の流通過程でこの「完全性」を確保するための基準です。
つまり、
温度や湿度などの環境条件の維持
不正アクセスや改ざんの防止
識別・追跡が可能な管理体制
を通じて、品質変化や偽造・混入のリスクを防止します。
医薬品の完全性を脅かすリスクには、次のようなものがあります。
| 区分 | 主なリスク | 例 |
|---|---|---|
| 物理的リスク | 温度逸脱、湿度、光、衝撃 | 冷所品を常温で放置、箱つぶれなど |
| 化学的リスク | 揮発性物質や汚染物との接触 | 消毒液蒸気による変質 |
| 管理リスク | ラベル誤貼付、混同、誤出荷 | ピッキングミス、返品品混入 |
| セキュリティリスク | 偽造・盗難・改ざん | 荷姿の破損や封印破壊 |
(1)保管中の対策
適切な温度・湿度の維持と定期記録(温度ロガー活用)
製品ごとの保管条件の明示とゾーニング管理
在庫回転(FIFO)の徹底と異常時の迅速な報告体制
(2)輸送中の対策
温度管理輸送(冷蔵・定温・常温)の徹底
積み込み・荷卸し時の温度変動リスクの最小化
輸送容器の封印管理や開封履歴の記録
(3)セキュリティ管理
鍵管理や防犯カメラによる不正アクセス防止
封印(シール)・ラベル破損の有無確認
偽造・混入防止のためのロット追跡システム(トレーサビリティ)の整備
完全性保持は、設備や手順だけでなく、職員一人ひとりの意識に支えられています。
「少しぐらい」「一時的だから」という油断が逸脱を招く
教育・訓練により、医薬品の特性とリスクを理解する
異常を発見した際には報告・記録・評価を迅速に行う
医薬品の完全性保持とは、単に温度を守ることではなく、
品質を守り抜く一連の管理活動を意味します。
GDPの原則に沿って、
「環境」「管理」「記録」「意識」の4つの視点から体制を整えることが、
製造品質を末端まで保証するための鍵となります。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:
温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理
リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)
BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)
医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。
製薬企業・卸企業・医療機関の皆様、
丸総が医薬品物流のパートナーとしてお力になります。
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