トレーサビリティとは
トレーサビリティとは、医薬品が製造から最終的に患者に届くまでの流通経路を、正確に追跡・記録できることを指します。
万が一、品質問題や偽造医薬品が発生した際に、迅速かつ確実に該当製品を特定し、回収や調査を行うための重要な仕組みです。

こんにちは。
今回はトレーサビリティについて考えてみましょう。
トレーサビリティとは、医薬品が製造から最終的に患者に届くまでの流通経路を、正確に追跡・記録できることを指します。
万が一、品質問題や偽造医薬品が発生した際に、迅速かつ確実に該当製品を特定し、回収や調査を行うための重要な仕組みです。
医薬品GDPガイドラインでは、流通過程での品質保証に加え、次のような目的でトレーサビリティの確保が求められています。
偽造医薬品の流通防止
正規の供給経路を明確にし、非正規品が混入しないようにする。
回収対応の迅速化
不具合や品質問題が発生した場合に、出荷・配送先をすぐに特定できるようにする。
品質リスクの最小化
温度逸脱や取扱いミスが発生した際に、影響範囲を明確化してリスクを抑える。
医薬品の追跡可能性を確保するためには、以下の情報を正確に記録・保管することが必要です。
製品名・製造番号(ロット番号)・有効期限
仕入先・販売先の名称および所在地
出荷日・受領日
輸送条件(温度、輸送業者、輸送経路など)
これらの情報が一貫して記録され、相互に紐づけられることがトレーサビリティの基本です。
倉庫や物流担当者が実務で注意すべきポイントは次の通りです。
入出庫時にはロット番号・数量の確認を確実に実施する。
伝票・システム上の情報と実物の整合性を常にチェックする。
返品・回収・廃棄時にも記録を残し、追跡が可能な状態を維持する。
バーコードやロット管理システムを活用し、ヒューマンエラーを防止する。
GDPの原則に基づき、トレーサビリティに関する記録は適切に保管・閲覧できる状態で保存することが求められます。
記録の保存期間は、通常は医薬品の有効期限+1年以上(あるいは出荷後5年など)
記録は改ざん防止の観点から、電子データも含めて厳格に管理する。
医薬品のトレーサビリティは、単なる「記録の保存」ではなく、品質と安全を保証する仕組みそのものです。
物流担当者一人ひとりが、正確な記録と確認を積み重ねることにより、安心して使える医薬品供給体制が成り立っています。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:
温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理
リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)
BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)
医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。
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