両者の位置づけ
医薬品の適正流通基準は、医薬品の品質と完全性を流通過程で確保するための基準です。
一方、薬局等構造設備規則は、薬局や医薬品の店舗販売業者、卸売販売業者などが業務を行う際に必要な施設・設備基準を定めた法令です。
つまり、GDPが「運用・管理のルール」を示すのに対し、薬局等構造設備規則は「物理的な施設・設備の最低条件」を示すものといえます。

こんにちは。
今回は医薬品GDPと薬局等構造設備規則の関係について考えたいと思います。
医薬品の適正流通基準は、医薬品の品質と完全性を流通過程で確保するための基準です。
一方、薬局等構造設備規則は、薬局や医薬品の店舗販売業者、卸売販売業者などが業務を行う際に必要な施設・設備基準を定めた法令です。
つまり、GDPが「運用・管理のルール」を示すのに対し、薬局等構造設備規則は「物理的な施設・設備の最低条件」を示すものといえます。
薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号)は、以下のような項目について規定しています。
調剤室や貯蔵設備など、施設ごとの必要面積・構造
清潔保持や照明、換気などの衛生環境
医薬品の品質を損なわないための温度・湿度管理
不良医薬品、麻薬等の区分保管方法
防虫・防鼠対策や清掃体制の整備 など
これらは医薬品の**品質を保つための基本的な「ハード面」の基準といえます。
| 項目 | GDP(適正流通基準) | 薬局等構造設備規則 |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 医薬品医療機器等法 第13条の4等 | 医薬品医療機器等法 第12条 |
| 性質 | 管理運用基準(ソフト) | 施設設備基準(ハード) |
| 対象 | 卸売業者、輸送事業者、保管事業者など | 薬局・店舗販売業者・卸売業者 |
| 目的 | 品質・完全性の保持 | 安全な保管・調剤環境の確保 |
| 管理の焦点 | 品質システム、トレーサビリティ、リスク管理 | 設備構造、衛生管理、区分保管 |
両者は目的を同じくしつつも、**「何をどのように守るか」**のアプローチが異なります。
GDPでは「保管条件を製品に適した状態に維持すること」が求められています。
その実現には、薬局等構造設備規則で求められるような
適切な温湿度管理機器
防虫防鼠対策の整備
汚染防止のためのゾーニング
温度ロガー等による記録保持
などが前提条件となります。
つまり、薬局等構造設備規則はGDP遵守の基礎インフラといえるでしょう。
医薬品物流現場では、次のような点で両者の基準を統合的に理解することが重要です。
設備基準(薬局等構造設備規則)を満たした上で、運用基準(GDP)を実践する。
温度記録や保管区分など、法令・ガイドライン双方の要件を重複的に満たす管理を行う。
「構造設備の維持点検」もGDP上の「変更管理」「自己点検」に位置づけて対応する。
薬局等構造設備規則は、医薬品の品質を守るための「建物と設備の基礎条件」を示し、
GDPは、その上で日々の業務を「適正かつ記録に基づいて運用する仕組み」**を求めるものです。
両者を一体的に理解し、施設の整備+運用の最適化を行うことが、
医薬品の品質確保と法令遵守を両立させる鍵となります。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:
温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理
リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)
BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)
医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。
製薬企業・卸企業・医療機関の皆様、
丸総が医薬品物流のパートナーとしてお力になります。
▶︎ [お問い合わせはこちら]
メディカル担当
電話:0548-32-0770
e-mail:sales@marusoh-el.co.jp
